Moral倫理に関して
2005年10月31日 倫理についての手引き
1) クライエントの人間性、人格を尊重し、クライエント主体の音楽療法を施行する。
[解説]
- クライエントの福利は、音楽療法士の最重要事項である。
- クライエントを性別・年齢・信条等によって差別してはならない。
- クライエントに最高のサービスを提供するために出来るだけの資源を使うようにし、また必要な学習を積み重ねていかなくてはならない。
- クライエントがこれ以上、現在の療法的関係から利益が得られないと判断されるときには、中断・終結するか、他に紹介すべきである。
- 提供するサービスの結果について、誇大な効果の予測を宣伝しないようにする。
- クライエントの安全を守り、事故防止に努めなければならない。
- クライエントあるいは保護者には、治療の方法と効果についての情報を随時提供しなくてはならない。
- フリーの音楽療法士は、その活動のなかで起こりうる損害賠償の請求に対して、充分な保険等をかけておくことが望ましい。
2) クライエントの守秘義務を有する。
[解説]
- 学会や研究会での発表申し込みの前に、実践している施設長や担当責任者にその趣旨を申請し、了承を求めなければならない。この了承を得た上で、クライエントやその家族等の同意を得るようにすることが基本的ルールである
- 実践・スーパービジョン・教育・研究のいかなる過程において得た情報についても秘密性を保護する。
- 研究発表などでクライエントの情報を公開する場合は、実際の発表趣旨やその内容を示してクライエント、あるいは養育者の承諾を得、同意書と誓約書をとりかわす。また発表においてクライエントに関する個人資料を用いた場合には、発表者は必ず回収しなくてはならない。
- 情報公開に際して、個人が特定されるような記述をしてはならない。
- 記録書類・ビデオテープの管理は厳重に行う責務がある。
3) 療法士は互いに知識を分かち合い、協力し合い、日々研鋳に励むよう心掛け、決して独断的行動に走らないこと。
[解説]
- 他の専門家や、職業機構と調和的な関係を確立しようと努力し、他職種をはじめとし他職業の社会的評判や他者のしている実践を一方的に傷つけるような言動をしてはならない。
- 他の音楽療法士の担当しているクライエントを勧誘してはならない。
- 誤解を招くような、または偽りの広告、専門性について間違った発表、予期される結果についての予断や間違った情報、本学会やその関係者の名前、ロゴ等を許可なく勝手に使用してはならない。
- 音楽療法士の自身の肩書き、学位、出身校、その年月日、資格などの表示に関し、間違った情報を記載してはならない。
- 他の療法士が行った実践を自身が行ったものと偽ってはならない。
- 他の音楽療法士を中傷したり、他の音楽療法団体名に類似した名称を故意に名乗ってはならない。
- 音楽療法士には、療法士としての資質の保証のためには、定期的な専門的なスーパービジョンが必要である。
- 音楽療法士は自分の学習をとおして、音楽療法の知識のレベルを向上させるべく努力をしなくてはならない。このために、音楽療法の実践や研究における最新の知識の水準を保持するために、定期的に学会の大会や講習会、研修会等に参加し続けなければならない。
- 共に働く音楽療法士の了承を得ずに、他の音楽療法士を治療に加えてはいけない。
- 同僚、他の職業の人や専門組織との関係には寛容さが必要であり、同僚の職業上の評判を傷つけてはいけない。
- クライエントを担当するにあたり、そのクライエントに関わる他の療法士と連絡を取り合い、治療経過にしたがって協力することが望ましい。
- 音楽療法の研究においては、他の研究領域と同様、研究プロジェクトに参加するクライエントに、研究についての情報を与えなくてはならない。彼らは、プロジェクトの目的とプロジェクト参加にさいしての利点とリスクについて、必要で可能なかぎりの情報を受け取らなくてはならないし、いつでも参加を中止することができる。研究者としての音楽療法士は、プロジェクトにおけるクライエント/患者の状態に関する責任を負い、研究における限界を知っておかなくてはならない。
- 研究結果は適切なかたちで公表されなくてはならない。